松山の気質は悪くない

鹿児島が肌に合わない私 - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

坊ちゃんを読んだ小学生の頃は主人公の気持ちに共感して痛快さを味わっていました。

こき下ろしているとは感じませんでした。あの辺の人ってそんなもんじゃないですか?合わないでしょう、そりゃ。と思っただけです。きっと松山の人もそのように感じているはずです。のんびりと”坊ちゃんだんご”などを郷土の土産として製品化しているぐらいですから。私も実は出身が松山方面で、道後温泉は子供の頃従弟たちと出かけています。そのように、心がわりと広いというか割り切っているというか、そのような高名な文学作品の一部の重要な土地として自慢にも捉えているようです。そして松山であろうと松江であろうと、主人公が感じる事は、細部こそ違えどもあまり内容としては変わらないのではないでしょうか。また、坊ちゃんが気に入って絶賛する地方もあるはずです。

江戸っ子の主人公の腹黒くないところには、田舎の人共通の面子やら嫉妬やらが入り混じった姑息で陰湿な腹の中とは対照的な誇り高さを感じました。

二十四の瞳にも田舎の人の偏見差別や歪曲が露骨に描かれていましたが、さもありなんと思って(これは物語を語る上での脇の重要な流れで土地柄を示すもの)読んでいました。瀬戸内の春霞にぼんやりと水平線上に浮かぶ船や岸部ののどかな風景を思い浮かべて懐かしくなります。