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チタンが体に入っている

チタンが私に合っている - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

日産のピックアップトラックが高速で追い越しを掛けてきた時に私はウィンカーを出して左に曲がってオフィスビルの駐車場へ入ろうとしていました。片側一車線ずつの対向車線道路だったので、相手側の無謀な追い越しが事故の原因です。私が乗っていた中古のホンダ2007年の運転席後部ドアに突っ込まれ、車体後ろ半分は大きく右にぶれ、腰の真ん中に痛みが走りました。ガラスはめちゃくちゃに砕け落ちていました。時刻は8時27分です。911に電話を掛けましたがけが人は居ないと答えてしまったため、警察が来るのが大幅に遅れ、おおかた9時ごろまで待ちました。(おおかた、の使用で秋田出身の人に笑われた事があります、本はあまり読まないと見ました)

ようやく到着した小柄なポリスはピックアップトラックの叔父さんとスペイン語で話し合っていました。アメリカはいつも警官は一人で行動します。

相手は70歳に近い近所のヒスパニック系の人で、おそらくそこは庭のように慣れた道でしょう。あんなところで曲がる人間とは滅多に遭遇しなかったのだろうと思います。あの時もおそらくずいぶん後ろから見通しが良かったので対向車線を走っていたのでしょう。ルームミラーには何も映っていませんでしたから。

ラティーノ社会は皆ファミリーです。学校の子供の友達にも親戚がいたのだろうと思います。ただ、担任の先生も同じ事故と手術の経験者だったので救われました。(転校していく時に初めて詳しく教えてくれたんですが)それほどコミュニティーが密なのだと想像できます。相手のハポネ(そこまで認識していないと思います、当然チーノ)が当然悪い、運転が下手なとろいおばさんだとでも言っているんでしょう。だからといってぶつけた方が悪くないという理屈にもならないとは思いますが。友好的なママ友は映画を観に行く時にも先導して車を運転してくれました。他の人も車線変更を何回かして私が必ずウィンカーを出す癖の持ち主であることを見届けていました。だからと言ってだれも弁護はしてくれませんでしたが。

話は事故当日に戻ります、そのあとポリスレポートをいい加減に作成したものを渡され、私は自動車保険に電話をかけ、レンタカー会社と連絡をとり、トウイング会社ともアポイントをとりました。午後1時ごろに車は修理工場へ運び去られました。

腰も衝撃が大きかったし(体の中心部がねじれた感があった)首のあたりが少し変だったのですが(右に振り返れない)私が入院したり病院へ通うためには職場を休む必要があります。オーナーも全く気前のよい人物ではなかった事、ワーキングステイタスも日本で言う支払調書の身分だけで済まされ、源泉徴収税を負担してくれなかったこと、陰で悪く言われて馬鹿にされている事も感じ取っていたこと、そして気が張っていたこともあり、大丈夫、仕事には来られます(代わりの人を雇われると困る)と、かなりの無理をしてしまったのですが、今になって思えばわがままと取られるような事でも大事をとって翌日にでも調べておけばよかったと思います。

その少し前、ガベージトラックに突っ込まれた日本人は頭の怪我で死にかけていたのにも拘わらず、大丈夫ですと答えたそうです。皆同じ事を考えているのですね。生活を回す事。アメリカで何の保障も無く働くという事はこの様なリスクを抱えています。

ポリスレポートが不完全なので事故専門の弁護士から連絡があって、こちらも体調が良くないのでそのとおりに言ったところ保険会社に掛けている傷害の分が適用されると思うのでとにかく体を調べるように言われました。

そしてカイロに行き、首の骨と神経が当たっていてしびれが来ていた頃、神経外科医を紹介されて手術の話になりました。体に傷をつける、ましてや首なんて、と拒否してフィジカルセラピーで直そうとしましたが、フルタイムワークに加え子供の送り迎えや世話で病院へゆっくりと行ける時間もとれず、予約をキャンセルしたり、とにかく真面目に治療できるような環境には無かった事から軽いしびれも慢性的に悪化、その間に気管支炎も患って体調は厳しくなりました。子供をキャンプに連れていったりしてますますこじらせたことも原因だろうと思われます。頭が大きいのに首が細いので骨がずれた事は容易に想像できます(普段から首が凝りやすい)

一日入院して首にチタン(タイタニウム)を入れる(正確には首の骨にワイヤーを絡ませて補強する)手術でした。X-rayでも確認しました。

実はあまりにもポリスレポートもいい加減で、私が悪い事になっていたので弁護士が訴訟にも持ち込めると言いました。車線が片側2車線ずつの合計4車線道路で私が右側から割り込んだように言われていたのです。現場検証もしないので仕方がありませんが。スペイン語で言い返せないのでマイアミには住むべきでは無いのかも知れませんが、ジャマイカは英語ですのでそうとも言い切れないものがあるのです。すべて運と身内がいるかいないかで変わってくるようです。訴訟になったら解決するまで4年かかる、それまでにコートに出席したりしなければならず、しょっちゅう嫌な事を考えなければならない。もういいです、と日本人らしく安易な解決を選びました。

別の人の話ですが、他州でレイプされて相手を訴え、多額の現金を手にした人に対しても傷の深さより金額を手にした羨ましさが勝つようです。レイプだったのか、合意だったんじゃないか、と好き勝手に下世話な事を言いふらします。心の傷も訴えて、それでも仮病だと決めつけるのです。騙されたくないから?でしょうね。

私の場合は病院代と差し引けば引っ越し代が浮いたぐらいです。命からがら逃げだしたという表現がぴったりです。本来ならば貯金すべきなのですが、環境があまりにも不利です。こちらも日本人は多いのですが冷たく、あまり変わりが無いようですが。

もっとも私がこのように切々と暗く訴えても受け取る側は笑うだけでしょうけど。命があるんだもの良かったね、という具合です。

人は自分が思ったようにしか言いません。欲の深い人程そういうストーリーが頭から離れる事はありません。人の痛みにさえ気が回らないのです。手術の翌週に無理をして出社して(書置きによる言いつけで)掃除を指示するなど、こちらで仕事を一緒にした日本人は想像を超えるようなきつさを持った人が多いように思います。本人はこれぐらいでなければアメリカでやっていけないと勝手に思っているらしいですが、そうではない人の方が多いように思います。

人の痛みに対してこうも無神経だと、心の中で見切りをつけるラインが出来るのです。こんなひとだ、と。自分の心を守る為とはいえ不思議ですね。

無慈悲な人、Ruthlessという短編を読みましたがそんな性格はいるようです。ある人もMeanと言う表現を使っていました。

人の子供の事は何も言った事はありません。正直いってハーフだから可愛いとか羨ましいと思った事もありません。この親だからこんな子だというのは当然だし(ステップでない限り)皆子供というのはか弱い存在で可愛いものです。何人であろうと子供らしさなどを見ればほほえましく感じます。親が嫌いだとしても子供には関係ありません。アジア人は見慣れているので可愛いとは思えないのでしょうが、それにしても子供だから可愛がって然るべきだとは思っていませんが、ひどい言われ方をしているのがとても気になります、人として。このような大人の心無い言葉が子供をゆがませるのではないでしょうか。日本人のなかには親としてこのような人が多いという事がとても気になりました。

毎日を回す事で精一杯というのはあちら側も同じなのかも知れません。そのようなぎりぎりの環境に身を置かざるを得ない私も笑われています。(結婚相手が悪いのでこうなっていますしこの先改善の余地はありません。はっきりいって年の差がありすぎです。最初は騙されて4歳上だと思っていたのです。普通は相手にしません。健全な生活を望むなら)

父の骨を拾った時には本当に骨のかけらしかありませんでした。私もきっとあのようになるのでチタンが燃えて残っていてもごみとして処理されるだけでしょうね。

仏教では大切なのど仏なども、もしアメリカで死んだらだれも拾わず、埋められるだけでしょうね。日本で死んでも誰も見てくれないので同じ事ですが。

 

一文一文をもっと練って綺麗に書き直す予定ですべては下書きです。

状況説明のみに徹しておりますが、今思い返しても弁護士は恩人です。地獄に仏(たぶんクリスチャンでしょうけど)とはこの事です。